情報公開法の適用除外   審査会答申より厳しく!?/福岡高裁

文書不開示処分取消及び文書開示処分義務付け請求控訴事件
2019/12/13 00:01|FPINA

被疑事件(公務員職権濫用罪等)の不起訴処分確定後、付審判請求手続き(注1)に移行する過程で、検察官が作成した「刑訴規則171条規定の意見書」は、不起訴記録でも刑事訴訟記録(注2)でもないが、被疑事件に関して作成されたものなので、刑訴法53条の2第1項所定の「訴訟に関する書類」に該当し、情報公開法は適用されない。
したがって、福岡地方検察庁検事正がした「当該文書を開示しない旨の処分」(平成29年12月18日、福岡地検企第187号)は、情報公開法の大原則(行政文書は情報公開が大原則である)に反しておらず、国民の知る権利を侵害するものではない。

なお、情報公開・個人情報保護審査会の答申によれば、刑訴法53条の2の訴訟に関する書類とは「被疑事件・被告事件に関して作成され、又は取得された書類であって、捜査・公判の過程において作成・取得されたもの」(平成14年度(行情)答申第29号)とあるが、控訴審判決は捜査の過程で作成されたか否かは関係なく、被疑事件に関して作成された書類全てが「刑訴法53条の2の訴訟に関する書類」であると結論づけている。

注1)公務員職権濫用罪等について告訴・告発した者が、検察官による不起訴処分に不服がある場合、裁判所に対して審判に付することを請求する手続き。付審判決定すると、管轄裁判所に指定された検察官役の弁護士が公訴を提起することとなる。
注2) 刑訴法及び刑事確定訴訟記録法において、文書の取扱い、開示の要件、開示手続き等が定められている訴訟記録。

(令和元(行コ)29文書不開示処分取消及び文書開示処分義務付け請求控訴事件、令和元年11月13日福岡高等裁判所   棄却   原審・福岡地方裁判所平成30(行ウ)56)

※   情報公開・個人情報保護審査会の答申

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   国VS国民(控訴審における攻防)

主な争点は、
1   検察官は、付審判請求につき公訴を提起する権限があるのか?
       (国の答弁書:5頁10行目から)
2   当該文書に「捜査権行使の経過や結果を示す内容」は、記載されているのか?
       (国の答弁書:4頁23行目から)


(控訴人準備書面)




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   ところが、    

控訴審は、争点には触れずに「控訴人の控訴理由は、独自の見解にすぎず、採用のかぎりでない」と判断した。

(控訴審判決)


   ※   見過ごせない「最高裁判例」の引用。

控訴審は、最高裁判例を引用して、付審判請求についての審判を「検察官の職権手続き」であるかの如く記述しているが、間違いである。付審判請求についての審判は「裁判所の職権手続き」である。
「最高裁判例」はここをクリック

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参考資料
・  原審(福岡地方裁判所)
・  控訴状
・  控訴審における攻防(答弁書、準備書面)
・  控訴審判決(福岡高等裁判所)

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